海辺より。

日々の事を色々と綴ります

ICO 読了

宮部みゆきさんの「ICO」を読み終えました。
良かった。本当に良かった。

この小説はPS2で発売されたゲームを基にしたもののようです。私はゲームは過去にプレイ済みで当時夢中になって遊んでいた記憶があります。まず驚いたのはこの小説版のICOの世界観に私は全く違和感がなくスッと入っていけたという事。調べてみると宮部さん自身もかなりのゲーム好きで勿論ICOの世界を熟知していらっしゃるという所が大きかったのでしょう。そこに彼女自身の創作を含めた部分もプラスされてより深いICOの世界を楽しめたような気がします。

私の一番の驚きと感動、それはヨルダの存在です。ヨルダはゲームの世界では私の中で「受け身」の印象がとても強かったので、この小説版のヨルダの存在感の大きさが私には衝撃でした。第3章の「ヨルダ 時の娘」で見るヨルダは一国の女王の娘、いずれは国を統治する者、とてもゲーム内で感じたヨルダとは違う印象でした。この第3章からググっと引き込まれひたすら読み進めました。

宮部さんの文章は特徴的なのか、情景、風景の描写がとにかく秀逸で想像力をこんなにも膨らませてくれるものか!と感動しました。その映像が脳裏に浮かび上がってくるというか、実際はゲームでプレイした映像も重なりかなり楽しませてもらったような気がします。

ヨルダと異形の騎士オズマとの出会いのシーンも印象的です。このあたりは宮部さん独自の世界観ですがこの部分かなり良かったなぁ…。オズマの美しく気高い姿が素敵でした。後はゲームをプレイしていて、気付かなかった部分を小説で読み取れた瞬間があって、これは特に印象的でした。何故、何故ヨルダはイコの手を握り返し、共に行動を始めたのか…という部分。もちろん宮部さんの解釈の部分もあるのでしょうが、ゲーム内だけでは理解出来なかったところ。

※以下は抜粋。

「この幸運なニエを助けよう。そしてわたしはここに残る。わたしは時の封印だ。これを最後と、その手を突き放すためにのみ、少年の手をとる時が来てしまった。」

突き放すためだけに、手をとる。

ヨルダの心情を小説を通して初めて知りました。創作の部分もあるのでこのまま全ての内容がゲームになったわけではないのですが、こういう風に物語が肉付けされていくのは本当に面白かったし、気付きもありました。ラストはもちろんゲームで知っている事なのだけれど、だけど、泣いてしまいました。。。読んで良かった。。

ファンタジーものはあまり読んだ事はないのですが何というか現実味が無い分想像力を高めてくれるような気がします。他にも様々なファンタジーものを読んでみたいですね!