海辺より。

日々の事を色々と綴ります

8/19

すべてのシーンには意図がある。

映画に登場する食事シーンをテーマにした動画を観た。フードスタイリストの方がいくつかの映画の食事シーンを取り上げて説明していたのだけれどとても面白かった。

映画に出てくる食事シーン、私はとても好きです。料理をテーマにした映画を探したりするほど。観ている最中もとてもお腹がすくし、観終わればあのレシピはあったりするんだろうか…と思ったりする。

撮影時間に合わせて用意しなければならない。例えばアイスクリームなどの時間が過ぎれば溶けていくようなものは撮影時タイミングが難しい。演者やスタッフを待たせる訳にもいかない。少し材料を変えたり加えたり工夫し溶けにくいものを作り出す。撮影場所がいつも料理を作る最適な場所とも限らない。材料の調達もその都度合わせなければならない。様々な労力を考えると大変な仕事なのだなと思う。

興味深いシーンを2つ。

2人の女性のランチタイムシーン。1人の方のステーキが何と生焼けだった。「何てこと!半生じゃない!ちょっとシェフを呼んでくれない!?」と怒り気味。

この時、そのステーキのアップシーンは一切なし。←ここ重要
出てきたシェフ。何という事か、めちゃめちゃイケメンの素敵な男性。半生だと訴えていない方の女性がシェフに何かを言おうとした瞬間それを制止し、さっきまでの怒りはどこへいったのやら?の女性がぽつり「…とても美味しいわ…(うっとり)」。ここであえてステーキのアップが映し出されない意図がはっきりと伝わる。そう、怒り気味の女性がもうそんな事はどうだっていい、こんな素敵な男性が目の前に現れたんですもの!!という事、を表現しての事らしいです。生焼けの肉の存在はちっぽけだった。半生肉の存在を印象付ける必要がなかったんですね。

対照的な次のシーン。

ある男性と女性のカフェタイム。とても美味しそうなクリームたっぷりのケーキを2人で食べるシーン。だけど何やら不穏なムード。

たっぷりのクリームケーキのアップが画面全体に映し出される。←ここ重要
2人は無言で食べているが女性が何かを言おうとしたところ男性が言葉を遮り席を立つ際、何とそのクリームたっぷりのケーキにタバコを突き刺してしまう。これは先ほどのシーンとは対照的にケーキの存在感を印象付ける為にケーキのアップシーンがあったという事。

食事に限らないですがこういったひとつひとつのシーンが意図的に演出として表現されている事がとても面白いなと感じました。今後映画を見る際にそういった部分も意識して観てみるとまた違った印象が出てくるのでしょうね。